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出願して登録されるまでに製造販売した場合、どのような問題がありますか?

特許出願をし、特許出願中と表示をして製造販売をすることは違法ではありませんが、出願公開前に第三者が模倣し販売したとしても特許法では保護を受けられません。ただし、出願公開がされた後に、発明の内容を実施している第三者に警告を与えた時には、補償金請求権が発生します。この請求権は、特許権の設定登録後でなければ行使することはできません。(特許法65条) また、出願された内容が他人により既に出願され登録になっているものと同一と判断されると権利侵害となり、損害賠償を請求されることにもなりかねませんので、製造対象物の発明に係る権利関係を十分調査した上で製造販売をする必要があります。

権利侵害への対応はどうすれば良いですか。

1.権利侵害を発見したら

権利侵害を発見した場合は、十分な検討を行い、侵害であることの確証が得られると普通は侵害者に警告をして、和解交渉で解決できるかどうかを探ります。交渉が決裂した場合には、訴訟を起こして争うこととなります。
権利侵害を発見した場合の対応をご覧下さい。


2.権利侵害といわれたら

権利者は、権利侵害があったと考えると、通常、その権利行使前に侵害者と目される者に対し警告を発します。警告は特許権者の主観的判断に基づく場合が多く、ときに誤用または濫用されることも少なくありません。したがって、警告を受けた場合、その正当性を調査検討後、しかるべき措置を採るべきです。

警告への対応 をご覧下さい。



自、他の技術的範囲について公式見解を求める特許庁の判定制度につきましては 判定制度(特許庁)をご参照下さい。

権利侵害を発見した場合の対応について教えてください。

特許権がある一方、第三者がその特許発明の内容と関連の深い製品を生産、販売等をしている場合に、その製品が特許権の侵害になるか否かは非常に難しい問題となる場合があります。
しかし、特許権は一種の財産権ですから、その所有する権利者が権利侵害への対策を考えなければなりません。

[1]権利侵害の成立条件

以下のような条件が揃うと権利侵害が成立します。
(1)有効な特許権があること
特許権が設定登録され、権利の存続期間中であることが必要です。
(2)技術的範囲内の実施であること
第三者の実施している発明が技術的に特許発明の技術的範囲内であることが必要です。
(3)正当な権原のない実施であること
当該第三者が実施権を有しないこと、または特許権の効力の及ぶ範囲での実施であることが必要です。
また、特許発明を実施している場合でなくとも、例えば特許権の侵害に用いられる専用部品を生産・譲渡する等の行為は、特許権の侵害とみなされます(いわゆる間接侵害(特許法第101条))。

[2]権利侵害を発見した場合の対応策

権利侵害を発見した場合には、十分かつ慎重な検討を行い、侵害であるとの確証が得られるならば侵害者に警告をして、和解交渉で解決できるかどうかを探ることが考えられます。当事者間同士の直接の交渉で解決できない場合には、裁判所の手続を利用するほか、調停制度、仲裁制度、判定制度等を利用する等、第三者を間に入れることで解決を図る方法もあります。
なお、実用新案権者が権利行使を行うときには、特に注意が必要です。
実用新案権は実体審査を経ずに付与される権利ですから、権利の濫用を防止し、第三者に不測の不利を与えることを回避するため、実用新案権者は、権利の有効性に関する客観的な判断材料である実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、権利を行使する事ができません(実用新案法第29条の2)。
実用新案技術評価書を提示せずに行った警告や訴訟の提起は、有効な権利行使には当たらないものと考えられ、これにより相手側に損害を与えた場合には、これを賠償する責任を負うことになります。
以下に権利侵害を発見した場合の手順を示しておきます。
権利侵害の発見
詳細な検討
自分の権利の確認
(名義、存続の確認、実用新案技術評価書の請求等)
相手の実施状態の把握
(侵害品等の証拠の確保、販売ルートや数量等の把握)
権利範囲と実施内容の比較
(弁理士・弁護士の鑑定、特許庁の判定制度)等
警告
通常は証拠を残すために書面で行います。
↓警告を受け入れない場合↓
裁判外での解決
民間人の仲介
例:日本知的財産仲裁センター等

裁判所による解決
訴訟(本訴、仮処分申請)の提起(損害賠償請求は本訴で行う)
↓警告を受け入れる場合
私的和解
・侵害者が侵害行為を中止
・侵害者が権利者に実施料を支払って実施許諾 等

自社製品に対し、権利侵害との警告を受けた場合の対応を教えてください。

 製品を製造し販売していたところ、特許権者から特許権を侵害しているので製造販売を中止するようにとの警告を受けたというような事案が時々あります。権利者は、権利侵害があったと判断すると、通常、その権利行使前に侵害者と目される者に対し警告を発してきます。しかし、この警告は権利者の主観的判断に基づく場合が多く、ときに誤用又は濫用されることも少なくありません。
 したがって、警告を受けた場合、その正当性を調査検討後、しかるべき措置をとります。以下にその対策例(特許の場合)を説明します。

1.特許権存在の確認
  特許登録原簿により、特許権が有効に存在するか、正当な権利者からの警告であるかを確認します。


2.特許発明の技術的範囲の検討
  特許公報を入手し、特許請求の範囲の記載を中心に、特許発明の技術的範囲がどこまで及ぶかを検討します。

  特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められていますが(特許法第70条)、特許請求の範囲を正確に読むためには、出願時の技術水準を把握し、出願前の公知文献などを調査することが必要です。

  なお、特許発明の技術的範囲については、特許庁に判定を求めることができます(特許法第71条)。この判定においては、判定の対象が特許発明の技術的範囲に属するか否か等の公的見解を6月程度で示します。この判定は、法的拘束力を有しませんが、権利付与官庁の公式見解であるため権威ある判断の1つとされています。また、弁理士に鑑定を依頼することもできます。

  このような検討踏まえ、自己の実施技術が特許発明の技術的範囲に属するかどうかを判断します。


3.特許発明の技術的範囲に属すると判断した場合
 I 直ちに実施行為を中止し、故意責任を免れるようにします。

 II しかる後、実施許諾或いは権利譲渡を受け、正当に実施できるように交渉します。

 III また、調査の結果、特許権に無効理由を発見したときは、特許無効審判を請求します(特許法第123条)。無効の審決が確定すると、特許権ははじめからなかったものとみなされるので、警告自体その根拠を失うこととなります。

 IV その他として、先使用等による実施権があるか、特許権の効力の及ばない範囲の実施に相当するか、などを調査します。


4.特許発明の技術的範囲に属さないと判断した場合
 I 侵害事実がない旨を回答するとともに、将来の訴訟に備えて鑑定書、正当理由資料等の証拠の準備をしておきます。

 II 相手側からの仮処分の申請があった場合には、裁判所に上申書を提出して、こちらの意見主張の機会を与えてほしい旨の申し出をします。

 III 差止請求権、損害賠償請求権の不存在確認の訴訟を起こすことも検討します。

 IV 権利濫用、不正競争防止法違反等も適宜検討し、主張の根拠等を整理しておくことも考えられます。

 V 裁判外での解決として日本知的財産仲裁センターへ仲裁・調停を依頼することも検討します。

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